太古のニュージーランドの地には、鳥にとって脅威となる動物がいなかったため、警戒心が薄かったり、本来、陸生の哺乳類が果たすべき役割を行っていたため、次第に飛ぶ機能が退化するなど独特の進化をとげてきました。飛べない鳥が多いのもこのためとされています。ところが、人間が町を作ったり、牧草地を作るために多くの森や木々を伐採して鳥たちの住処を奪ってしまったことや人間が連れ込んだ猫や犬、ポッサムなどに捕食され、いくつかの種の鳥たちが絶滅へと追い込まれてしまうことになりました。ニュージーランドに人間がやってきて以来、少なくとも40種類の固有種が絶滅してしまったそうです。
しかしながら、まだ多くの固有の鳥が残っていることも確かです。ニュージーランドに生息する鳥類のうち水鳥の60パーセント、海鳥の30パーセントは、ニュージーランドでしか見ることができない固有種だといわれています。
近年では、保護区で絶滅に瀕している鳥たちを保護したり、脅威となるポッサムをはじめとした害虫の駆除など国を挙げて対策を行っています。ここでは、ニュージーランドで見られる鳥たちをいくつかご紹介したいと思います。
※ここで使っている”ネイティブ”が意味するのは、人の手助けなくニュージーランドで発見されている動植物であったり、ニュージーランドの野生で育ったものを指しています。
目次
Forest Birds(森に生息する鳥たち)
Rifleman/ミドリイワサザイ
英語名:Rifleman マオリ語名:Titipounamu 和名:ミドリイワサザイ
Photo By digitaltrails – Lake Sylvan – Rifleman
ニュージーランドの北島、南島両方で見ることができます。
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Fantail/ハイイロオウギビタキ
英語名:Fantail マオリ語名:piwakawaka 和名:ハイイロオウギビタキ
Photo By I, Tony Wills
ニュージーランドでもっとも長く生きたファンテイルは3年でした。ちなみにオーストラリアでは、10年生きるものがいるとか。
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Illustration By J. G. Keulemans, in W.L. Buller’s A History of the Birds of New Zealand.
Tomtit/ニュージーランドヒタキ
英語名:Tomtit マオリ語名:Miromiro 和名:ニュージーランドヒタキ
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Silvereye/ハイムネメジロ
英語名:Silvereye マオリ語名:Tauhou 和名:ハイムネメジロ
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New Zealand Robin/ニュージーランドコマヒタキ
英語名:New Zealand Robin マオリ語名:Toutouwai 和名:ニュージーランドコマヒタキ
ニュージーランドの固有の鳥で、体重35グラム、体長18センチ。フレンドリーな鳥で低木や木の幹を昆虫やワームを捕まえるために飛び回っています。北島では、ロトルア湖やタウポ、Kapti Islandのあたり、南島では、アーサーズ・パスやEglinton Valleyなどで見られるようです。16年ほど生きるそうです。
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Bellbird/ニュージーランドミツスイ
英語名:Bellbird マオリ語名:Korimako 和名:ニュージーランドミツスイ
Photo By Sid Mosdell from New Zealand – Bellbird
ニュージーランドだけで見られる固有の鳥で、体重26~34グラム、体長20センチ。オリーブグリーンの色の鳥で長い尾を持っているのが特徴。1896年頃から保護されるようになりましたが、一時は、ネズミのせいで絶滅したとされていました。現在では再び見られるようになりました。花粉や種を運ぶ鳥として重要な役割を果たしており、花の蜜を食べるのに適したカーブしたくちばしを持っています。
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Shining cuckoo/ヨコジマテリカッコウ
英語名:Shining cuckoo マオリ語名:pipiwharauroa 和名:ヨコジマテリカッコウ
ニュージーランドで見られる固有の鳥で、体重25グラム、体長16センチ。見かけることよりもその鳴き声を聞くことの方が多い鳥。”tuwee tuwee tuwee tuwee tiwoo”といった鳴き声(歌声)をきかせてくれるそう。冬の間はパプアニューギニアで過ごし、11月から2月(春と夏)のあいだにニュージーランドにやってきます。
Long-tailed cuckoo/カッコウ科
英語名:Long-tailed cuckoo マオリ語名:koekoe? 和名、他:カッコウ科 ニュージーランドだけで見られる固有の鳥で、体重125グラム、体長40センチ。とても長い尾を持っているのが特徴的です。背の高い木々のある森でみることができます。たいてい木の一番高いところにいるそう。巣は作らずに他の鳥の巣に卵を置きます。ニュージーランドだけで繁殖するのですが、冬は、Fijiなどの熱帯太平洋で過ごし、10月の初めころに全く同じ場所に戻ってきます。
Yellowhead/キイロモフアムシクイ
英語名:Yellowhead マオリ語名:Mohua 和名:キイロモフアムシクイ
Photo By Thomas Mattern – Department of Zoolog
ニュージーランドの南島だけで見られるとても珍しい固有の鳥で、体重25~30グラム、体長15センチ。Eglinton Valleyの道路沿いの森やLake Gunn 、Haast Passなどで見ることができるとされています。100ドル札紙幣に描かれている鳥です。
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Blackbird/クロウタドリ
英語名:Blackbird マオリ語名:Manu Pango 和名:クロウタドリ
ヨーロッパからの移住者により持ち込まれた鳥で、体重90グラム、体長25センチ。おそらく、ニュージーランドで一番よく目にする鳥ではないでしょうか。家の庭などを歩くというよりもぴょんぴょん跳ねているのをよく見ます。庭や公園、果樹園、牧草地、低木地森の中にも生息しています。約20年くらい生きるそうです。