Photo:Christchurch and Canterbury Marketing
マオリ族による伝統工芸の品は、ニュージーランドに訪れたことがある方ならいろいろな場所で見かけたことがあると思います。
それらは、グリーンストーンで作られたアクセサリーやマオリ族伝統のデザインが施された木の彫刻であったり、特にマオリ族の集会所など、マオリと関わりの深い建物を作るときは、古くからのマオリ族が利用してきたデザインに模して作ったりするなど、比較的身近な生活でマオリ工芸、デザインが施されたものを見かけます。
今回は、マオリ族由来の工芸品が次々とオークションで高値を付けているという状況をご紹介します。
目次
Hei tiki(ヘイ ティキ)が来週のニューヨークで開かれる、オークションの目玉!
来週開かれる、サザビーズのオークション(Sotheby’s Art of Africa, Oceania, and the Americas auction)に、マオリ族の工芸品のコレクションが複数出品されるそうです。
Hei tiki(マオリの神話にも登場する最初の人をかたどったペンダント)、ポウナム(グリーンストーン)のペンダントやマオリのカヌー用のパドル(櫂)、Taiaha(タイアハ/マオリ族の伝統的な武器)、宝箱、鳥を捕らえる時に使ったわな、などが出品予定です。


中でもHei tiki(ヘイ ティキ)が一番の目玉らしく、$43,000~$57,000くらいになると予想されています。
出品されるHei tiki(ヘイ ティキ)の初めの所有者は、有名なイギリス海軍少将で北極探検家でもあった、ウィリアム・エドワード・パリーだという記録があるそうです。
ですが彼は、ニュージーランドにやってきたことはなく、オーストラリアかイングランドのどちらかで手に入れたのではないかとされています。
また、Taiaha(タイアハ)とパドルは、英国の民族工芸品コレクターのジェイムズ・トマス・フーパーによって所持されていたそうです。
Taiaha(タイアハ)は、$5780~$8670、パドルは、少なくとも$4,000と見積もられています。
※すべて貨幣単価は、USDです。
また、別のオークションのボナムズでも、Hei tiki(ヘイ ティキ)の出品が予定されているそうで、金額は、$5800~$8700と見積もられています。
ニュージーランドのマオリ族の工芸品がニュージーランドから流出していく…。
ニュージーランドの文化遺産省(The Ministry of Culture and Heritage)としては、国内でのオークション取引などに対してチェック機能はありますが海外のオークションについては、それができず、重要な文化遺産になるようなものでも海外で販売されるのをストップさせたり、強制的に本国に送還させるようなことができない状況です。
昨年の6月には、マオリの彫刻がフランスのパリ(Christie’s Art d’Afrique et d’Oceanie sale )において、$321,000で取引されたり、他にも、貴重なマオリのフルートが$246,000、木製のこん棒が$105,000、ヘイ ティキが$17,500、手製のクジラの骨でつくられた武器が$47,000、ペンダントのコレクションが$5,000などなど…。近年、国際的にマオリの工芸品は人気が沸騰しており、海外のオークションでは高値で売買されています。
そういえば、日本でも重要文化財が国外に流出、行方不明の品も…ということがありましたね。
今回、マオリの工芸品が海外でオークションにかけられているというニュースをみて、日本でも数年前に確か、国宝を含む重要文化財が行方不明という話があったなぁ、と思い出しました。
その国の歴史的にも芸術的にも価値のある文化財は、やはり、その国でしっかり守って、国民の共通財産として将来の世代に引き継いでいくべきだと思います。
ニュージーランドも日本もきっちりと、国民の財産となるもの、将来に引き継ぐべきものをしっかり管理してほしいと思います。そのための法整備が必要ならすぐに取り掛かってもらいたいな、と思います。
▼サザビーズ
https://www.sothebys.com/en/
▼参照
https://www.nzherald.co.nz/nz/news/article.cfm?c_id=1&objectid=11851513