ニュージーランドの先住民は、マオリ族だけではなかった。

By Ville Miettinen
ニュージーランドは、かつてイギリスの植民地でした。1907年にイギリス議会に自治領と認められ、1931年には、独立も認められたのですが、ニュージーランド議会が正式にイギリスからの独立を決断したのは、1947年のことです。
現在は、2017年ですから、独立をしてからの年数を考えると100年も経っておらず、ニュージーランドは、国としては、まだまだ若い国です。
とはいえ、若い国ながらも、イギリス側について、第一次世界大戦や第二次世界大戦にも戦ったことがあるなど、世界の中でニュージーランドが果たしてきた役割は小さくはありません。
ただ、ニュージーランド史を端的に表すならば、イギリスの植民地下での先住民族であるマオリ族とヨーロッパ系白人との衝突と共生の歴史、と言えるのではないかと思っています。

ところが、先日、偶然読んだ本の中に、ニュージーランドの歴史の中にマオリ族やヨーロッパ系白人以外に、モリオリ族という部族が存在したという記述を見つけました。
そもそも、モリオリ族という部族が存在したことを知らなかったため、驚くとともに、彼らが今では、消滅の一途を辿っている、その理由にも衝撃を受けました。

今回は、このモリオリ族について紹介したいと思います。

モリオリ族とは?

モリオリ族は、1500年頃、ニュージーランドの南島の東沖にあるチャタム諸島に移住してきたとされています。チャタム諸島(モリオリ語: Rekohu、マオリ語: Wharekauri、英語: Chatham Islands)は、ニュージーランドの特別領です。
モリオリ族は、元をたどれば、マオリ族と同じようにポリネシアに祖先を持っている部族です。
チャタム諸島に移住してきた部族は、当初は農耕社会のやり方で生活を始めたようですが、チャタム諸島の環境は、農業には不適切だったため、狩猟採集生活へとシフトしていきました。狩猟生活というとなんだか気性の激しい人が多くて争いごとも多いのかな、と思いきや、獲れたものを平等に分けたり、多くない資源を分かち合うために、争いごとは避け、話し合い、調停で物事を解決していく非好戦的な平和主義者であったと言われています。

一方、ニュージーランドのメインランドに生活するマオリ族たちの生活スタイルは、モリオリ族とは違っていて、農耕社会で農業を中心とした生活でした。また、決定的に違ったのが、マオリ族は戦闘といった争いごとに対しては、モリオリ族とは真逆の考え方をもっており、好戦的で武器も戦闘技術も長けていたということです。同じ祖先を持ちながら、生活する環境によって正反対の部族に互いが成長していたことが伺えます。

マオリ族による侵略

1835年、ニュージーランドの北島タラナキ地方からやってきたいくつかの部族のマオリたちにより、チャタム諸島のモリオリ族の穏やかな生活が一転します。

チャタム諸島に豊かな食料源があると知ったマオリ族が侵略してきた際、争いを避け、平和的に解決をしようと和平案を申し出ることを決めたモリオリ族に対して、その申し出を確認する前にマオリ族がほとんどのモリオリ族を殺し、奴隷にしてしまったと言います。
このことをきっかけにモリオリ族はほぼ全滅へと向かうことになりました。
最後の純潔のモリオリ人は、1933年に亡くなってしまったので、今日生存しているのは、後にやってきたヨーロッパなどからの宣教師と混血のモリオリ族の子孫のみになっています。約1000人に満たない数と言われています。
個人的には、マオリ族について、白人たちにより搾取された犠牲者としての側面を感じており、勝手に同情心さえ抱いていたのですが、モリオリ族をほぼ壊滅に追いやった歴史があったとは、なんだかショックな気持ちになりました。

モリオリ族のアイデンティティーの主張

近年、モリオリ人の子孫たちは、文化・アイデンティティーの権利、保障を求めてきたのですが、それがつい最近実ったというニュースがありましたのでそちらもご紹介します。

モリオリ族の子孫たちは、マオリの部族により彼らの土地から排除され、奴隷状態にされていた事に対して政府が適切な対処をとらなかったこと、(奴隷的扱いが廃止されたのがおよそそれが始まってから30年後という遅きに失したこと)また、1870年ころから実質的に土地を持たず、文化的で社会的、経済的な発達が妨げられてきたことなどを主張してきました。
政府はこのたび、対応が不適切であったこと、その不適切な対応がモリオリ族が人種的に劣っていて絶滅してしまったという根拠のない話につながることを招いたと非を認めました。

そして、政府とモリオリ族の子孫との間で、長年に渡って交渉された結果、以下のような内容が合意され、調印されました。

・トータルでおよそ1800万ドルの財政的な補償
・土地の返還
・島内の3分の1をを占めているラグーンの共有権
・天然資源の共同管理
・土地の保護と神聖な場所に対しての厳格なルールの設定

モリオリ族たちの権利と保障を認め、彼らにとって明るい未来へとつながる一歩になることを願ってやみません。

▼参照
https://www.newshub.co.nz/home/new-zealand/2017/08/crown-admits-failing-to-stop-maori-from-enslaving-moriori.html
(銃・病原菌・鉄 草思社文庫,ジャレド・ダイアモンド 倉骨彰訳)
(ニュージーランド先住民マオリの人権と文化 (世界人権問題叢書)明石書店,平松 紘 (著), ジェラルド・ポール マクリン (著), 申 恵〓 (著) )

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