Photo By Midnighttonight
日本では、衆議院と参議院の二院制ですが、ニュージーランドは、一院制をとっています。議員の定数は、121人で任期は、3年です。そして任期の終える3年ごとに選挙が行われ、それが今月9月23日と近づいてきています。
ニュージーランド在住の方で選挙権を持つ方は、ニュースやSNSでも各政党のポリシー比較などが出ているのでそれらを読むなどして、どの”政党”、”候補者”に投票するか考え始めている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私は、投票時に必要な”Voteカード”もつい先日、郵送されてきまして、同封の各政党と候補者一覧表を眺めながら、どの政党と候補者を選ぼうか…と考え中です。
ここでは、各政党の移民に対する政策がニュース記事にでていたので各政党の移民政策のキーポイントをご紹介します。各政党のポリシーが掲載されているURLのリンクも用意しているので、合わせてそちらも確認するとより理解できると思います。
目次
New Zealand National Party(ニュージーランド国民党)
国民党は、現在のニュージーランド首相 ビル・イングリッシュが党首(2016年9月~2017年10月19日)を務める政党です。前回の選挙では、121議席中、59議席を獲得しています。移民政策においては、高いスキル、能力を持った人々を移民として迎えるような政策となっています。
ホリカルチャー(園芸)、viticulture(ブドウ栽培)、IT、建設業界などの成長分野での労働者を特に歓迎。観光業界や輸出業界の教育といった2つ大きな産業においても移民の力が必要と考えているようです。
※以下の政策はすでに施行されている内容でもあります。
・年収/報酬をhigh、mid、low で区別分けを導入した。
・73,299ドル以上を超える年収を得ている移民は、職種は問わずHigher-skilledとみなす。
・41,538ドル以下の年収の移民は、Lower-skilledとされ、3年間働いた後には、stand-down期間が設定された。また、Lowerスキルの移民のパートナーや家族に対して新たな制限を設けた。
【National Party/国民党の移民政策】
https://www.national.org.nz/
New Zealand Labour Party(ニュージーランド労働党)
前回の選挙では、121議席中、32議席を獲得しています。党首がアンドリュー・リトルから女性のジャシンダ・アーデゥーンに代わってから特に勢いが増している政党です。
移民が持つ高いスキルによって、ニュージーランドの経済の成長や文化、社会が豊かになることを歓迎する一方で、急激な移民の増加により現政府(これまでの政権が)が計画もなく、住宅、インフラ、公共サービスといったことをおざなりにしてきたことを批判しています。
まずは、移民の数を適切な数に減らすことを目的に各種ビザの変更、新しいビザの導入を政策にあげています。
・移民の総数(昨年は、74,200)から20,000~30,000人をカットする。
・Exceptional Skills Visa の導入(Highスキルや能力のある人向け)
・KiwiBuild Visaの導入(住宅建設業界における労働者向け)
・Student visaへの変更
Lowレベルと見なされるコースで学ぶ学生についてビザの制限や働く際の制限を設ける。
・Post Study Work Visa‐Openへの変更
Lowレベルの資格を持つ卒業生でJob オファーなしの場合のワークビザを廃止。
・Work visaへの変更
職業リストを地域単位で用意し、雇用主は、ニュージーランド人を優先して雇うことを徹底する。
【Labour Party/労働党の移民政策】
http://www.labour.org.nz/immigration
New Zealand First Party(ニュージーランド ファースト党)
Photo By Original uploader was Becks28nz at en.wikipedia
政党名からしてかなりの保守感が伺えますね。前回の選挙では、121議席中、11議席を獲得しています。
党首のウィンストン・ピータースによれば、「”ニュージーランド人の賃金や労働環境を奪うような低賃金労働者”としては、移民を受け入れるべきではない」とし、厳格で厳しい移民政策をとることを掲げています。
・何よりニュージーランド人優先
・移民政策は、ニュージーランドが必要、関心のある分野をベースにし、主たる焦点は、重要なスキルを満たす条件が整っているかどうかにある。
・年配の移民の数や移民の家族の合流は厳格に管理、制限を設けるがすべての国籍の移民に公正に行う。
・オークランドを始めとする、大都市以外の地域に移民を分散することを推進
・前払い制の英語授業料チケットを事前に購入することを廃止。(入国時、最低条件として有効とされていた。)
【New Zealand First Party/ニュージーランド ファースト党の移民政策】
https://www.nzfirst.org.nz/
Green Party of Aotearoa New Zealand(ニュージーランド緑の党)
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ニュージーランド緑の党は、ジェイムズ・ショアを代表とし、その名から想像できる通り、環境問題に特に力を入れている政党です。前回の選挙では、121議席中、14議席を獲得しています。
移民政策においては、自然環境、社会、文化に対する影響を制御するために持続可能な移民の数を維持することを基本に、進歩的で人道的な移民システムをサポートを掲げています。
・新しい移民の家族がニュージーランドに居住することをより簡単にする。
・生活水準をあげる二酸化炭素排出の少ない経済を構築するために必要な技術を持つ移民について優先度を上げる。
・投資家ビザのカテゴリーの審査を強化し、事業開拓の契約内容などより一層、監督に力をいれる。
・一時的な移民の労働者に向けてもスキルを持っているものについては、永住権の申請を許可する
【Green Party/ニュージーランド緑の党の移民政策】
https://www.greens.org.nz/immigration_policy
ACT New Zealand(アクト党)
アクト党のリーダーは、デイビット・シーモワーです。前回の選挙では、121議席中、1議席獲得しています。議席数からも言えるように、普段は、国民党や労働党、マオリ党、NZファースト党といった党が目立つので印象は薄いです。といったら支持者に怒られますが、個人的な意見です。ご容赦を。
移民政策については、基本的には、現状を維持という内容のようです。一部、移民者がニュージーランドに居住して、10年経てば、年金をもらえる資格については変更、過去3年間に納税していない両親からは、子供の学校における費用を徴収する、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドとイギリス(CANZUK)の間で貿易と行き来を自由にできるようにする、といったことを掲げています。
唯一、政党のウェブサイトとして、中国語サイトを用意していたので、支持者に中国をバックグラウンドに持つような方が多いのでは、と思われます。
【ACT New Zealand/アクト党の移民政策】
http://act.org.nz/immigration/
The Opportunities Party (トップ党)
The Opportunities Partyは、頭文字をとって、TOP/トップ党と呼ばれ、党首はギャリー・モーガンです。前回の選挙では、121議席中、0議席です。それもそのはず、2016年11月にできたばかりの新しい政党です。移民政策については、厳しめの政策案になっているようです。
・highスキルを持つ移民には、迅速で簡単な入国対応を目指す。
・勉強(留学)のために入国し、それから職を得て、それから永住、という流れをとることの多い、海外からの学生について規制する改正案を検討。
・ポイントシステムの改正
収入、英語力、経済にどれだけ貢献できるかの能力について反映させる。
・永住権(Permanent Residency (PR) )についての改正
取得までの道のりを難しく、長いものとする。ただし、ニュージーランドでの生活への貢献度を証明できる場合は、簡単にする。学生ビザやワーキングホリデービザの保有者が永住権をとることができないようにするもの。
【Top/トップ党の移民政策】
http://www.top.org.nz/top2
Maori Party(マオリ党)
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マオリ党には、女性のマラマ・フォックスと男性のテ・ウルロア・フラヴェルの2人のリーダーがいます。前回の選挙では、121議席中、2議席獲得しています。
マオリ族が大事にする家族や親族に対する考え方、ワイタンギ条約についての理解を求めることを強く反映した内容になっています。
もっと議席数があると思ったのですが、現在、2議席とは個人的には意外な数字です。マオリ党のウェブサイトでは、本文中にマオリ語が度々出てくるので、ちょっと混乱するのとマオリ語ならなんて意味なのか、理解するが大変でした…。
・市民権の取得の際、誓約の時には、ワイタンギ条約への誓約も合わせて行うようにする。
・移民の両親や家族についてのカテゴリーを再導入する。
・サモア、トンガといったパシフィカ出身の適正と認められた65歳以上には、市民権を得るまでに必要な5年間の標準期間を免除する制度を導入。
【Maori Party/マオリ党の移民政策】
各党の党首/リーダー (2017年9月現在)

ニュージーランドファースト党。党首は、ウィンストン・ピータース
ニュージーランド緑の党。代表ジェイムズ・ショアBy Ballofstring
終わりに
今回の総選挙で最も多くの議席を獲得した政党の党首がニュージーランドの首相に選出されるので、注目の選挙です。新聞、ニュースのメディアからは、労働党の勢いをすごく感じるので、ひょっとしたら労働党が政権とってしまうかもしれない…そんな勢いを感じますがどうなるでしょうか。
日本にもいろんな政党がありますが、ニュージーランドにも上記にあげた政党以外にももちろんいろいろあります。個人的にニュージーランドっぽいなぁ、と思わされたのが、『NZ Outdoors Party』とか『Ban 1080』、『Aotearoa Legalise Cannabis Party』という政党です。自身の信条の基に同じ志を持った人たちが集まる集団が政党と言われるわけですが、これら3つはなかなか興味深いです。
政党名からもだいたいその政治信条は想像がつきますよね。『NZ Outdoors Party』は、ニュージーランドの環境保護、とりわけ、河川環境の向上、森林保護区の拡大、持続可能な漁業への監視、監督といった、アウトドアに関することが基になっています。
『Ban 1080』は、1080(テン・エイティー)と呼ばれる、殺虫剤のことで、ニュージーランドでは、ポッサムなどの害獣駆除に使用されているのですが、これが他の野生動物や家畜にも悪影響を与えているとその使用について反対の立場をとっています。
そして、『Aotearoa Legalise Cannabis Party』、現状では、リスクのある薬物とされている、大麻とその類似した効用を持つ物に対しての規制を取り払うもしくは、規制緩和を求める立場をとっています。※2017年の6月にニュージーランドで医療用の大麻の使用は合法になっています。
今回は、移民についてみてみましたが、また他の項目についても比べてみて、どの政党、候補者に投票しようか、しっかり考えたいと思います。
▼参照
https://www.tvnz.co.nz/one-news/new-zealand/election-policy-comparison-immigration-major-political-parties-do-you